「高村ぁぁぁぁあああ!!!」
ぴくりと動かない菊花の体に、遠くから呼びかけている龍星も本格的に危ないと感じた。
だが、あの女がこんなことでくたばるか。
(——…あの千影の"力"に堪えれたんだろ、魑魅魍魎の主なんだろう——!!!!)
「——……テメェ、地獄に叩き付けてやる!!」
怒るように叫ぶ正影、叫びはしないが瞳に怒りが籠る穂積。
青い空があまりにも憎らしいと感じた瞬間、龍星の耳に「鈴の音」が響いて来た。
——それはあまりにも愛らしくて、可愛く…
(美鈴、)
そう頭の中で呟いた瞬間、視界の端に白いワンピースと麦わら帽子が映った。
「えっ——…」
「"動くな、愚か者"」
襲いかかる蛇を間一髪で止めたのは——蛇の物の怪「美鈴」であった。指一本も触れていないのに、そのオーラはおどろおどろしいものであったのだ。
『ナッ、ナッ、ナゼ…!!!』
「誰、あの娘?!」
「…どうして美鈴ちゃんがここに!!!」
その瞬間、ゆらりゆらりと登場したのが「朱雀門の鬼」こと「スザク」であった。その横笛が奏でる音楽に誰もが心臓を鷲掴みにされそうになる。
「よぉ、正影」

