正影は心底面倒臭そうに三人の二年女子を見つめた。手にしているピンクの手紙は大人しそうな先輩が書いたらしい。

そして、友人であろう先輩達は「早く言いなさいよ」と急かしている。




「あの、用件なら早くしてもらえますか。俺も"暇"じゃないので」


(((サラッと毒吐きやがった!)))

茂みで隠れている穂積以外の心がリンクした瞬間だった。オイオイ…いっつもこんな調子なのか玖珂君…。

菊花さんは告白する女の子以上に胃がキリキリしてるよ。



「この子の手紙読んだんでしょう?呼び出された理由くらいは解るでしょ」


右側に居た先輩がそう言ってきた。いかにも可哀想な友人の代わりに代弁する迷惑な女子の典型みたいだな。


「そうよ!ほらっ…佳奈も、早く言いなさい」

「——う、うん…」






——カチンッ



どうしてだが、苛々してきた。手紙の内容も読んだ、どうやって相手に失礼のないように断るか考えたが——…






「あ、あのね——…」





「——帰る」


俺は当事者の先輩にラブレターを押し付けた。ふわふわしたように巻かれた髪、気合いを入れてメイクをしているのか目元が派手だ。


凄いよねアイライン書いただけでも化粧したともいえるからな。それに比べ菊花もは——…




「ちょ、ちょっと!玖珂君、貴方なんなのよ!」

「そうよ!モテているからって調子に乗っているの?!」


気の強そうな先輩が筆頭になって俺に食いついて来る。……全く持って、面白く無い。