「フフッ…。滅されたんじゃないのね」
(あの子、可愛いけど——。キライ)
「——…お陰様で。そちらもですよね?」
美鈴がニヤリと笑えば、鏡子も眉を引き攣らせて顔を真っ赤にさせた。
「…私の術で精神状態壊しそうになったくせに!」
「う"っ…」
正論だ。本当のことだから何も言えない。
その反応が嬉しいのか、鏡子も笑って次の文句を考え出す。
「あのぱっとしない女が主人だなんて、貴方も可哀想よねー。"田舎"の蛇さん」
——カチンッ…
今更だが、この二人の少女は滅多な事が無い限り怒りを露にしない。なので、白とスザクはぽかんと口を空けながら見つめる。
「…菊花様は慈悲深い素晴らしい女性です。そのような"お言葉"は御止めください…」
正影様は素敵なお兄様なのに…。艶のある妖艶な男性です。
女の私から見ても気品が溢れており、とても憧れの存在。なのに……悔しい。
「——高々100年しか生きていないくせに、粋がるな」
美鈴の黒い瞳が黄色に成り代わり、ゾクリと鏡子の背中が震えた。
「お、お前!鏡子に生意気な口を訊くなよ!!ブス!!」
「——見る目がないのね」
バッサリと一刀両断した美鈴に笑いを堪えきれなかったスザクは盛大に笑った。
「ハハハハハッ!!!お前達、小学生は早く家に帰ってろ!」

