魑魅魍魎の菊









——キャアーキャーキャーキャー!!


女の子の声援が体育館に響くのだ。それもそのはず、またもや正影と龍星がバスケ対決をしているのだ。


しかもまだ——1 on 1なのに…。あまりにもこの学校の風紀が乱れていると頭を抱える菊花は「涼」を求めて体育館の外に出た…。



右の手首からひんやりと数珠の冷たさを感じ、またもやあの奇妙な温度差を持つ風が吹く…。



先ほどのドッヂボールの試合が終わった途端、あの少年は全力疾走で何処かに行ってしまったのだ。手当をしようと思ったのに…






——どうしよう、どうしようサラマンダー…。







咄嗟にか細い少年の声が耳に響いたので、近くにあった木の陰に隠れれば…。あの"井上"と仰る少年が居て……その掌には、私が先ほど出会ったトカゲさんが…。






——穂積……泣くな。きっと、見つかるはずだ。






低いテノールの男の声。そして、感じてしまったあまりにも慣れた"妖力"。





「…あのブレスレットが、無きゃ……。ぼ、僕…」

「…大丈夫だ穂積。俺もちゃんと探している、"あのブレスレット"を」




《サラマンダー》…四精霊の火を司るもの。と…パラケルスス著の「妖精の書」で読んだことあるけど、まさか本物をお目にかかるとは…。


これは一応、《パラケルスス》繋がりで挨拶をした方が良いのかな?




(でもま…リチャードを交えてからの方が良いだろうね…












——世にも珍しい"精霊師"さん)




菊花が息を吐いた瞬間にまたもやザワリと風が吹く。