一瞬だけコートは静まり返るが、口端を上げて笑う男が三人居たのだ。
「おめーが"玖珂っち"って言うなっての」
一瞬だけ、"妖気"が流れ出して。
「それじゃあ——ボール、返すね?」
大勢の生徒のどよめきと戸惑いの声が生まれて、菊花のボールを受け取ったF組の男子生徒が——
「ぐ、ぐあぁああっ…」
呻き声を上げ、ボールが腹に直撃して倒れてしまうのだ。この光景に顔を引き攣らせた。
「あっれー?大丈夫かい一年生ー?」
菊花は"井上"の頭をぽんっと撫でて、F組の外野にズンズンと押し進むのだ。
そして、高校生になって成り上がりちょい不良のチャラ男がボールを拾い上げ——
咄嗟にまたもや井上を狙うのだが!!
「おっとっと〜!!オイコラ萩原、押すんじゃネェよ!!」
ニヒルでチェシャ猫のような笑みを零す正影がボールを見事にキャッチしており、女子の歓声が一際大きくなったのだ。
「おらよっ!!」
そしてこちらも力強くボールを投げるが——
——何故か相手のH組へと当たって、三人程戦闘不能に…。
(私より玖珂君の方がよっぽど悪者っぽいんだけど…)

