「……貴方の言いたいことは、何となく解った。だけど憶測だけで行動しない方が良いんじゃないの?」



そうだ。コイツは私の放つ空気に引き寄せられた"だけ"の話。

またもや風が吹いて、制服のスカートを小さく揺らすのだ。






刹那、








「そんな余裕はねぇんだよ、女」





頭上から男の声が聞こえた。




その声の主は給水タンクの上に立ち、西日を受けて…綺麗に見えたのを後の私は後悔するだろう。


その男は何処かの民族みたいな派手な化粧を施しており、まるで女形のような化粧だ。

着衣しているものは恐らく女物の着物で艶やかさを感じさせる。そして、動きやすいように色々と改良されている。

——悔しいことに女の私よりとても女らしく優美だから面白くない。





「——…女装趣味」

「あ"ぁ?」



とても小さく呟いたのにどうやら相手に聞こえていたらしい。

(そして、口が悪い)



「今なんつったんだ、このクソアマ!!」

「キレんなって、よーく似合ってるよ?それで歩いてたら、私は写メで撮りまくるよ」



私の意見が癪に触ったのか、青筋を立てながら上からふわりと下りて来た。なんて身軽なんだろと関心したが、腰に刀があったのでどうやら私は本格的に危ない状況下に置かれていることに気がついた。