「…うわぁ…疲労困憊、何か陽炎が見える…」


「目が明後日の方を見つめてるぞ」

正影は菊花の頬にアイスコーヒーを当て、霧吹きを吹きかけてやる。そして龍星が団扇で仰ぐ作業が続いた。



「…明後日どころか一週間ぐらい先だな」

「……うわぁ、テスト週間じゃん」

「ゲッ…。テストかよ…」


菊花と龍星は互いに溜め息をつき、一気にテンションを落とす。…奇しくも"玖珂正影"は眉目秀麗だ、奴の心配などどうでも良いか。



「高村…お前は平均点街道を突き進んでいそうだな」

「——玖珂君、悪意と言う言葉を覚えて下さい」

「でもまあ、高村は数学とかで苦しんでいそう」


笑いながら何気に自分の方に風を仰がないで萩原君!


「失礼ね!数学はまぁまぁよ!」

「だったら何気得意なんだよ」


正影は胡座をかいて霧吹きを吹く手を休めるのだ。


「理科全般はバッチコーイよ。物理でも化学でもかかってこーいよ」

「魑魅魍魎の主が滅茶苦茶現代っ子なんて——なんか嫌だ」


萩原君よ——そんなことばっかり言ってると、美鈴誘拐しちゃうわよ?!それよか、ウチのリチャードとライアンを刺客として送り込んで懐かせてやる…


何とも筋違いな逆襲ということはスルーさせよう。



と、その瞬間——…遠くから誰かの駆け足が聞こえて来た。菊花は体を起こしてその方向を見れば…










「高村!!探したぞ?!」

息を切らした植木君だったのだ。


(汗かいても爽やかって素晴らしいね!)