(仮にも美鈴は俺より何百歳も年上だわ!)

(いや、見かけ上"は"の話だ)


ニヤニヤと笑う男を華麗にスルーしたところで。



「と、とにかくだ。人の好意は素直に受け取っておけ、じゃねぇと互いに後味悪い」


ということでお前もサイダーだ、龍星はそう言いながら二本目のサイダーを選ぶ。



「ほれよっ。俺はC組の萩谷龍星だ」

「うわっ……あ、ありがと…」

「俺はB組の玖珂正影」


正影はアイスコーヒーとサイダーを持ちながら自己紹介をする。


「…僕はF組の、井上 穂積…です」


辿々しく自己紹介する奴の名に聞き覚えが…「イノウエ ホズミ」だって?




「あぁ…。お前毎回、俺を押しのけて学年主席の"井上 穂積"か」



「と、棘が感じられるよ…玖珂君」

「ンだよ玖珂、お前一位じゃないのか?」





「苦しくもこの俺は"二位"だ」


それは堂々と言うものであろうかと再び首を傾げる龍星であった。にしても…この暗い感じがさっきのしゃしゃりが好みそうなカモだ。


学年一位だから調子に乗るな、とか筋違いなイチャモンをつけられ虐げられているような気がする…。



俺はそういうダセェことする奴が大嫌いだ。卑怯で卑屈、何故高村菊花や玖珂みたいに正々堂々と出来ないんだと思う。



「ふ、二人共ありがとうね!!ぼ、僕…競技があるから、」



井上はそう口早に言って、駆け足で逃げるようにして去って行った。



(恐怖が滲んだ、そんな瞳…)

(少し前の…美鈴のような瞳)


思い思いに思考は繋がる。