「おい…お前大丈夫か?」


そう言えば、コクンっと頷いた「イノハラ」という少年。どうやら同じ一年らしくてF組の奴だったので知らなかった。

あんまり遠いクラスだと知らない奴が多いのだ。


黄緑のTシャツが若干血で濡れている…。




「あんなチャラ男がしゃしゃってダセェことすんなっての…。一度シメるか」

「可愛い美鈴ちゃんが哀しんでも知らないぞ」



「う"っ…」


それより、コイツは以前から"いじめ"のような行為をされているようだ…。鼻の上や口端にバンドエードが張られている。



「…あ、ありがとう…ございますっ…。助けてもらって」

やぼったい容姿が何だか以前の加藤を彷彿させるのは何故だ。




「別に目の前で困っている奴居たら助けるの当然だし」


正影はぶっきらぼうに言うが、少年は大きく目を見開かしてTシャツの裾をギュッと掴む。



「俺はサイダー…っと。玖珂、お前は何にする?」

「じゃあ俺もサイダー。現在HP瀕死状態の高村はアイスコーヒーっと…」

「お前、何にする?奢ってやるぜ?」


龍星は財布から新たな小銭を出して首を傾げる。


「べべべ、別に良いよ!!あの萩谷君から奢ってもらうなんて——!」


「どの萩谷か知らないが俺はそんな器の小さい男じゃネェ」

「そうだぞ萩原はロリコン趣味のある——」





——ヒュンッ!!





龍星の鋭い拳が正影を狙うが涼しい顔をして華麗に避ける。