——来タ。





相手校の投手からボールが投げられたのだが、






明らかにその方向が頭だった。本能的にやばい、まずいと感じ取って…


手には変な汗が流れ、





「危ないっ、植木君!!!」




と叫んだ。







ボールの動きがスローモーションに見えて、まるで時が止まったような気がした。


そして、「見えないもの」が植木君の首に巻き付き——小さな呻き声が耳に響く。




これがこの世の理?




それは違うでしょう?





私だけが見つめている世界じゃない。植木君は西日でボールが見えていないのか動きを見せない。


そして着々とその放たれたボールと「見えないもの」が植木君を狙うのだ。




菊花は唇を噛み締めながら、植木の伸びた動かない影に強く苛立ちを覚えた。




(どうして動かないの?!早く避けないのよ!)






そして、その瞬間だった。
《他のなにか》が待ち望み、驚いた光景が広がるのだ。









——植木が何かに引き寄せられるように、地面に座り込んだ。