「えっ?私は頑張っている女の子を率先して応援するよ?」
「はいっ?」
だって……"家族"を滅したのは、この私なのに——…
空から舞い降りる月光が春菜さんに降り注いで美しい。こんな平易な言葉しか吐けないけれど、それしか表現が見つからないの。
「…私自身ね、玖珂の現状をあまり理解していないの。陰陽師の仕事もね…。知ろうとすれば、みんなが全力で止めようとするのよ?真実を知ろうとするのがそんなにいけないことなのかな?——だから、さ…
菊花ちゃんの事情もよく解っていない。だけど、物凄く頑張っていることは私だって見れば解る!!だから私は菊花ちゃんを応援する!」
——バタバタッ…
春菜さんの言葉に涙しそうにした瞬間、互いの耳元に羽音が聞こえたのだ。
「菊花様ァァァァ!!!!!」
両手を広げながら飛び込んで来る"鴉丸"を避けて、さりげなく春菜さんを非難させた私って格好良いわ…。
「なななな、何と御労しい姿を——!!おのれ、玖珂の者め!またもや菊花様を!」
「あっ、烏天狗だ!キャアァァ〜物凄い男前じゃないの!」
私をギュウギュウに抱きしめていた鴉丸は聞こえて来た声にハッとして振り返った。
「か、鴉丸…。玖珂の若頭のお姉さん・春菜さん…よっ…」
ろ、肋骨が痛いです鴉丸さん…。そして蛇さんの悲鳴まで聞こえてきますよ…。

