その瞬間、正影の四肢に鎌で切られたような傷が出来た…
そして、その美しい顔に一筋の血が流れ出す。
「わ、若の顔が!」
鏡子の叫び声と龍星の息を飲む声。千影は翡翠色の瞳を細め、菊花の正体を探り出そうとしているが…
「——テメェ、俺のビューティフルフェイスに」
「自分で言う?!」
菊花は刀を銜え、右手に持つ数珠は掲げ上げる。——この月光を物にするのは、私よ…。
(——血の陣・氷柱!!)
瞼を伏せていた瞳を開けば——黄色の蛇目に変わり、左腕から取り留めも無く流れ出す血液が鋭い刃物に成り代わる。
その瞳を見た龍星は先ほどの大蛇に見つめられたことを思い出す。——寒気や狂気にも似た"怪物"。
「…ば、化け物…!!」
隣に居る女の子は唇をぎゅっと噛み締め、泣きそうになりがら「タカムラ」を睨むのだ。
玖珂が玖珂で…切れた腕を摩りながら、また炎を帯びた刀を構え直す。
「——それがお前の本性か"高村 菊花"!!!!!」
(何故、術を使う時だけ"妖怪"なんだ…)
千影は一つの結論に辿り着いた。——あの女、術を使う時だけ確実に妖怪に成り代わっていたのだ。
だが、容れ物は紛れも無い人間。
菊花は黒い着物を揺らしながら、一気に入り身をして正影に蹴りを入れ込むが正影も俊敏に避けたが——

