「では父様、母様。 長い間お世話になりました。 サーシャは行って参ります」 私は 父様のクシャクシャの泣き顔と 母様の優しい微笑みに見送られ、 馬車に乗り込んだ。 御者の鞭の音と馬のいななきが聞こえ、 馬車は動き出す。 その心地よい揺れのためか、 昨夜ドキドキして眠れなかったためか、 いつしか私は深い眠りに落ちていたのだった。