「サーシャ、
ワシは、ワシはッ」


『もう父様ったら!
別に、もう二度と会えない訳じゃないのよ?』



年若く美しい少女は、
髭を蓄えた老人に言った。

『年に何回かは帰って来るし、
第一、父様には母様がいらっしゃるでしょ?

上の姉様達も、お嫁には行かれているんだし……』



どうやら今日は
この国の王の末娘、
サーシャの嫁入りの日らしく、

彼は一目もはばからずに
城の門で馬車を待たせて号泣しているのだった。