封筒には見覚えのある字で、
“村西妃奈様”
と書かれていた。

それ以外、住所も何も書かれていない。
切手もない。


誰かが直接、このポストに入れたんだ。



封筒を開くと、やはり見覚えのある字で埋め尽くされた便箋と、もう一通、封筒が入っていた。


その封筒にも、見覚えのある字があった。

その字で、
“倉嶋洋平様”
と書かれている。


多分、これをポストに入れたのは、凜のお母さんではない。

もしそうなら、昨夜訪ねてきた時に直接渡すはずだから。



凜、だよね?
この手紙を書いたのも、
ポストに入れたのも。