あれが夢の中の出来事か、現実だったのか、よくわからない。

離れたまま、彼の顔をうかがう。

よく眠っている。



長いまつげが、その顔に影を落とす。
綺麗に通る鼻筋を柔らかな呼吸が通る音が聞こえる。

前にも思ったけど、綺麗な顔、という部類なんだと思う。

生徒たちが騒ぎ立てるのも、まあ、仕方ないのかも知れない、かな。

他の子は、こんな至近距離でこの顔を眺めたことはないだろうけど。

そう考えると、ちょっとした優越感を覚えて、自分の顔がほころぶのがわかった。


そんなことを考えていたら、彼の切れ長の目が、ゆっくりと開いた。


その瞳に、あたしを映して。