ダンガリーシャツに、チノパン。
若く見えるけど、友達らしいし、あいつと同い年くらいだろうか。


さっきまであたしの頭にあった手は、感触通り、目で見ても、大きくて、骨っぽくて、女の子のものとは全然違う。

あたしのとも、妃奈ちゃんのとも、清ちゃんのとも、未央ちゃんのとも。


この手が、あたしの頭を撫でていた。

そう思うと、一瞬、全身が締め付けられるように痛くなって、吐き気を覚えた。

彼の頭に載せていた手も、あたしの身体にぱっ、と引き戻した。


頭の中が、ぐるぐる回っていて、よくわからない。
これは、何?


わからなくて、その男を見る。
今も、穏やかな寝息をたてている。
あの手は、疲れきったような寝顔の下にある。

この手は、安心できる手なんだろうか。
それとも、この動悸を作り出すものなんだろうか。