春。桜が咲く季節。出会いと別れの季節。
そして、新生活の季節。
つい先日、中学校の卒業式を終えた俺は、早くも新しい生活の準備に取り掛かっていた。
入学式を前に、するべきことは山ほどある。
俺はその日、買出しをしていた。
新しく一人暮らしを始めるとなると、必要なものが多い。
布団など最低限のものだけは家から持ってきたが、それ以外はすべてこちらで揃えないといけない。
一通り買ったつもりでも、足りないものはいくらでもあった。
冷蔵庫や電子レンジくらいまでは予想がついたが、シャンプーやゴミ箱などの小物までは気がつかなかった。
その日、五回目の外出のために入口のドアを開けると、階段の音が聞こえた。
建物の正面に取り付けられた階段を、誰かが下りているのだろう。
やがて、その階段を下りてきた人物と、目が合った。
俺と同じくらいの年の女性。
軽く挨拶しようとして、俺は言葉を失った。
俺だけではない、その相手も、目を丸くして俺を見つめている。
次に出た言葉は、ほとんど同時だった。
「穂波?」
「ゆうくん?」
それはお互い呼びかけでもあり、確認でもあった。
そして、新生活の季節。
つい先日、中学校の卒業式を終えた俺は、早くも新しい生活の準備に取り掛かっていた。
入学式を前に、するべきことは山ほどある。
俺はその日、買出しをしていた。
新しく一人暮らしを始めるとなると、必要なものが多い。
布団など最低限のものだけは家から持ってきたが、それ以外はすべてこちらで揃えないといけない。
一通り買ったつもりでも、足りないものはいくらでもあった。
冷蔵庫や電子レンジくらいまでは予想がついたが、シャンプーやゴミ箱などの小物までは気がつかなかった。
その日、五回目の外出のために入口のドアを開けると、階段の音が聞こえた。
建物の正面に取り付けられた階段を、誰かが下りているのだろう。
やがて、その階段を下りてきた人物と、目が合った。
俺と同じくらいの年の女性。
軽く挨拶しようとして、俺は言葉を失った。
俺だけではない、その相手も、目を丸くして俺を見つめている。
次に出た言葉は、ほとんど同時だった。
「穂波?」
「ゆうくん?」
それはお互い呼びかけでもあり、確認でもあった。
