お姫様を助けるのは大体王子様か騎士であるのが相場じゃないのか、と氷悠は思った。



「お姫様を助けてくれるなら、これから先も助けてあげるよ――目的を果たす、その時まで」



これ以上こんなやり取りを続けるのも不毛だと思い、氷悠は何も答えず帝国の門をくぐった。



それを男は肯定と捉え、蒼く澄みきった空を見上げ微笑を浮かべる。










「お還り。蒼竜は君を待っていた――」