不思議な感覚だ。



水の中に飛び込んだのに、服は重くないし濡れてもいない。おまけに身体が軽く呼吸もできる、まるで魚になった気分である。


あくまでも氷悠の思った事だが。


「水の中で会話もできるし、進行案内はおれに任せてよ」


翡翠の髪は水の中でよりいっそう輝きを増し、眩しい。氷悠が思わず目を細めると、深行は苦笑いをする。


「ごめん、水の中だと髪は本来の輝きを取り戻すんだよ。それでもおれと深葉那はまだマシな方だ、魁様とおれたちとでは比べ物にならないから」

「蛍と一緒だな」

「そうそう……って!全然違う!てゆーか、虫と一緒にするなよっ」

「蛍?」


空が首を傾げる。自分の持つ本に蛍は載っていないし、初めて聞いた空は興味津々で、子供みたいに瞳を輝かせていた。