わたつみ――



一体どんな神様なのか想像もつかないが、会えばわかるだろう。



「じゃあそろそろ行こうか。深葉那、おれの留守中祠頼むよ」

「心配無用です。お気をつけて」



あっさりした挨拶を交わし、深行が祠から降りてきた。まるで、祭神には見えずその辺にいる少年とまるで変わらない。


「いち、にの、さんで飛び込んで。あとの事は任せてくれればいいから」


氷悠と空は頷き、深行がカウントを始める。


いち……


にの……


最後のカウントを深行がした時、空が氷悠に一言声をかけた。






「――氷悠」

「どうした?」

「何があっても、氷悠の味方ですから」






氷悠は言葉にする事ができなかった。






それは、故郷で唯一そう言ってくれたあいつの言葉だった――