空も頷く。


しかし、どうやって海を越えるつもりなのか。氷悠の故郷は、海とは無縁で、海という存在は本でしか知識がない。


深行がにこりと笑う。


「意外かもしれないけど、実はこの水……海に繋がってて。あ、水の中でちゃんと呼吸できるから心配しないで?おれといれば、呼吸はできるから」

「……」

「なんでわかるかだけど、なんとなくだから根拠はないよ」

「すごいですね、氷悠」


きらきらした笑顔を向けられ、これだからほっとけないのかもしれないと、頭の片隅で思った。



深行が思い出したように言う。






「そうそう。蒼海は、おれたちの領域じゃなく、海神と呼ばれるわたつみの領域だから、気をつけて。わたつみはちょっと気難しいからな〜」