もしも、瞳に映る世界がすべて『蒼』なら、世界に色はないと思うだろう。 生活感のない高そうな家具に囲まれた部屋で、少女は本を読んでいた。 小難しい内容のものではなく、少女が好きな童話や絵本である。 今読んでいる童話には、世界には色があると書かれているが、少女が見ている世界は蒼。 空も、海も。 建物も、植物も。 少女は酷く驚きながらも真剣に童話すべてを読み終え、それから中からしか見えない窓ガラスに近づいた。