まゆちゃんの言葉に刺激されたのか、私は負けてたまるかと、お弁当を食べだしてみるとみるみる食べ進み、いつのまにか食べ終わってしまった。
初めてお昼の時間内で食べ終わったので、私は嬉しくなった。
年長組も半分来たくらいでやっとという感じだったが。
まゆちゃんも同じように、食べ終える事も出来たので、私に微笑んでやったねと手を取り喜んだ。
私も達成感からまゆちゃんに喜びをぶつける様に手を握り返し笑った。
生まれて初めて笑い合う友達が出来た瞬間だったのか、その情景は良く憶えている。
笑った顔を向けてくれる友達なんて、今思えば人生で何人出来るものなんだろうか。
まゆちゃんの微笑みは優しい気持ちにさせる、温かいもので、30年近くたっても今だに色あせずフルカラーで私の記憶の中に存在している。
当然、二人はそれを機に仲良しになった。
私は身体の調子をよく悪くしてしんどい感じになってる時はいつも手を握って心配してくれた。
お弁当も最後まで付き合ってくれた。
二人は二人だけで共助しあう友達になって、社交的でない私達たちは、似たもの同士、心許し合う仲となって、まゆちゃんと会える幼稚園という所が、いつの間にか嫌いじゃなくなっていた。