納骨が済み、葬儀のゴタゴタがようやく終わった夕方、車でダンナは私を近くの巨大複合商業施設に連れて行った。
買い物するのかと思ったら、だだっ広い駐車場にダンナがぼうっとたたずんでいた。
ばあちゃんはおれを背負ってくれた。
そう一言言うと、タバコを沈む太陽に向かって吸い無言でダンナは祖母を偲んでいた。
家に帰ってから聞くと、あの施設の場所は昔広大な田んぼで、母親恋しさにベソかいた幼いダンナを祖母が背負い、田んぼの畦道をあやしながら歩き、虫の鳴き声とカエルの鳴き声と風の音しかしない、静かな秋の夕暮れを小さな祖母の背中に小さなダンナがしがみつき、淡い夕焼けをただひたすら歩いた。
ただそれだけの記憶。
ダンナにとっての奥深い温もりを持った記憶。
場所は失われたが、ダンナにとって、永久にその場所は消えないのだろうな。
温かい過去には現在を再考させる力があるのかもしれない。良いことばかりは無い、悪い事ばかりでも無い、その記憶の中に強く残るのは、幼少の時の触れ合いなのだろうか。
大きな体のダンナが小さい祖母の背中を思い出し、一晩中泣いていた。
私もずっとダンナの傍に座って祖母の介護を懸命にしていたダンナの母を思い出していた。
買い物するのかと思ったら、だだっ広い駐車場にダンナがぼうっとたたずんでいた。
ばあちゃんはおれを背負ってくれた。
そう一言言うと、タバコを沈む太陽に向かって吸い無言でダンナは祖母を偲んでいた。
家に帰ってから聞くと、あの施設の場所は昔広大な田んぼで、母親恋しさにベソかいた幼いダンナを祖母が背負い、田んぼの畦道をあやしながら歩き、虫の鳴き声とカエルの鳴き声と風の音しかしない、静かな秋の夕暮れを小さな祖母の背中に小さなダンナがしがみつき、淡い夕焼けをただひたすら歩いた。
ただそれだけの記憶。
ダンナにとっての奥深い温もりを持った記憶。
場所は失われたが、ダンナにとって、永久にその場所は消えないのだろうな。
温かい過去には現在を再考させる力があるのかもしれない。良いことばかりは無い、悪い事ばかりでも無い、その記憶の中に強く残るのは、幼少の時の触れ合いなのだろうか。
大きな体のダンナが小さい祖母の背中を思い出し、一晩中泣いていた。
私もずっとダンナの傍に座って祖母の介護を懸命にしていたダンナの母を思い出していた。
