そんな祖母も先ほど亡くなった。
亡くなる前、祖母はダンナの母をじっと見つめて、涙を一杯溜めてあぁーと言いながら、息を引き取ったらしい。
たぶん、感謝したのだろうな。
介護をして約10年、これが長いのか短いのかは、私にはわからないが、とにかくダンナの母は良く頑張った。自宅介護を周りの施設に入れたほうがいいのではというアドバイスがあったにも関わらず、自宅にこだわり、介護の仕方を勉強して、徹底した熱意で祖母と向き合った。
経済的にダンナが支え、ダンナの母は介護に徹する事が出来た。
私は結婚してから、ダンナの母が病院通いし始めてからのほんの手伝い程度だったが、何か大事な事を学んだような気がする。
祖母にも、世話をするダンナの母にも。
通夜の際、ダンナの母はかた時も祖母の傍からはなれず、送り出す時は普段取り乱す事の無いダンナの母が私の母に支えられながら、声を上げて泣いた。
一言では言えない深い思いが悲しむダンナの母を見ていて痛感した。
ダンナは祖母に背負われて田んぼの畦道をあやされながら歩いたのが俺の原風景なんだよと、灰になった祖母を見ながら、寂しそうに語ったのを私は忘れる事が出来ない。