さよならの十秒前

「なぁ、島井は、坂井さんが死んだから気になったんだろ?」

「…それは」

「そうなんだよ!お前らたいして知りもしないくせに、通夜ではわんわん泣きやがって」

西野の声がどんどん荒く、そして悲痛になっていく。

「でも、でも、次の日になったら、そんな気持ちなんて忘れるんだ。坂井さんについて何も知らないから、結局はどうでもいいんだよ!」