「なんで坂井?」

「いや…私さ、あの子のことほとんど知らなかったからさ」

「ふぅん…まぁ、私も知らないけど」

うーん、と紗枝は視線を窓の外にやった。

紗枝もあまり知らないのだろうか。

無理もない。

坂井奈緒は、ほとんど登校できなかったのだから。