さよならの十秒前

「…私ね、頑張るよ」

紗枝が、声を張り上げた。

「頑張って、医師になるの。いつか、誰かを救える人間になるために」

「…うん」

「じゃぁ、またね?誕生日、おめでとう」

紗枝との電話を切ると、部屋が静かになった気がした。