「いや、散歩…」

しどろもどろになりながら答えると、西野もそう、とだけ答えた。

「西野は?」

「え?」

「何してるの、こんなとこで」

そう聞くと、西野はサッと顔色を変えた。

「…なんで?」

「え?いや」

「何か見たのか?」

見たのか、って?

西野の顔が強張っている。

思わず首を左右に振ると、西野は少し安心したようだった。

じゃあ、と手を挙げ、くるりと西野は立ち去った。