さよならの十秒前

「…どうして?」

「うーん。夢を叶えるため?かな」

そう言いながら、紗枝ははにかんだ。

「夢…?」

「私ね、お医者さんになりたいの」

「お…お医者さん…?」

「何よぅ。無理って顔してる」

「いや、意外で…」

紗枝の口から、そんな夢を聞くことになるとは。