さよならの十秒前

しばらく間を置いて、私は口を開いた。

「…ねぇ、紗枝」

紗枝が顔を上げる。

「紗枝はどうしてこのことを、私に話してくれたの?それに、この前の…」

なぜ『坂井奈緒』からのメールの文面に、動揺したのか?

すると紗枝は、私の言葉を遮った。

「…北の大地、南の海」

…え?