さよならの十秒前

「最低でしょ?私」

「…紗枝」

「私ね、小学生のときからずっと思ってたよ。そういう、同性愛みたいのに偏見もつのって馬鹿げてるって。なのに実際、身近でそういうことが起きて気がついた」

「…」

「偏見のかたまりは、私だったんだ」

紗枝の頬を、涙がつたった。