「何度か会いに行くうちに、奈緒とは仲良くなっていった。私が勉強を教えたり、奈緒が私に本を紹介してくれたり」

きっと、入院している間寂しかっただろう坂井奈緒にとって。

紗枝は心の支えだったのだろう。

「…ある日ね。奈緒が言ったんだ」

「…何を?」

紗枝は視線を、窓の外に移した。