帰り道。

私は西野に出くわした映画館を通り掛かった。

彼が見ていたポスター。

それを眺めながら、私はぼんやり立ち尽くした。

こうやって簡単に、人の命は捨てられていて。

そして坂井奈緒は、本当に死んだ。

死ぬことは、怖い。

雨の音が、遠くに聞こえた。