僕はある程度の覚悟をして、

ホワイトエクスプローラー号に乗った。

航海は一年間の予定だった。


自分が選んで就いた仕事だったし、
断るという選択肢は無いに等しかったのも事実だ。


しかし、
こんなトラブルに遭遇してしまうと

"ある程度"の覚悟などなんの意味もなかった。


一年間逢えないということが、
こんなにも辛いことだったなんて・・・


千夏にしてみれば、

覚悟なんてなかっただろうし、

しかも、
出航してすぐに消息不明になってしまった僕を
どんなに怨んだだろうか。


僕は

自分が生きていることを知っているから、

ただ千夏に逢いたい

早く帰りたい

とひたすら思っていただけだが、


千夏は、

逢いたい

早く帰ってきて

と思いながら、


いつ帰ってくるんだろうか

"本当に"生きて帰ってくることができるんだろうかと

思い悩んでいたのだろうと考えると

やるせなかった。


僕のことはあきらめて
幸せに暮らしていてくれ

とさえ思う。