出口と入り口が斜めに向かい交差する。
地上五階の立体駐車場。
人間が作り上げた、機能ばかりを追求した、醜悪な建造物に、今日も、何台もの車が吸い込まれては吐き出されてくる。

ここは、大手のパチンコ店。
その裏側にある、立体駐車場。

人生の歓喜と悲哀も交差していく。

やかましい人工の音に囲まれて、排気ガスが渦巻いている。
その中で、なお、煙草に火をつけて歩く、男達。

最近は、女性客もかなりのところ、増えているそうだ。

それだけ、社会が不安ということだろうがね。まっとうに稼いでも、馬鹿を見る。

だから、こんな場所に流れ着くんだろう?

ギャンブルなんてものは、多かれ少なかれ、そういうものさ。

人間は弱い生き物だから、現実をまるまま飲み込んで、生きて行くにはちと辛い。
現実逃避も悪くはないさ。
まあ、実際のところは、だ。

周囲が見えなくなれば、お終いだけれど。

その崖っぷちに片足で立って、そんなことをひとかけらほども自覚してないやつらも多いが、それだからといって、ここに集まる人間全てを否定したりするつもりはないよ。

もっとも、こんな息苦しい空間に足繁く通うというのは、四足歩行の動物には、わからない心理だがね。


また、パーキングに、車が一台滑り込んでくる。

一夜の夢を抱いてね。

その夢が、泡と消える方に、今夜のごちそうを賭けてやってもいいな。

どうだい?

おいらと一勝負といこうじゃないか?

なあに、安い勝負だろう?