公園のベンチに座って、コンビニの袋を漁る。
ああ、弁当を食べようと言うのではない。
買ったばかりのペーパーバックのコミックスを広げ、僕は、小さくため息をついた。
何がいけなかったんだろうか。
昨日、久々に、友人と本気で喧嘩をしてしまった。
今日になれば、仲直りできるだろうと思っていたのに、お互い、声をかけるタイミングを失ったまま、放課後になっていて。
意地を張っていたわけではないはずなのに、素直に謝ることができなかった。

この小さな児童公園は、滑り台とジャングルジム、鉄棒があるだけの、昔ながらの公園というやつで、僕らがまだ小学生のころですら、魅力のない、つまらない公園だった。
最新の遊具が揃っている公園は、上級生達のたまり場で、つまるところ、ここは、競争に敗れた下級生たちの逃げ場にすぎなかった。
ブランコすら、ここにはないのだ。
それでも、子どもたちのパワーはすごい。「おにごっこするものこのゆびとまれ」
独特の節回しで、人差し指をたてる、少年。
あちらこちらから、わらわらと集まってくる、仲間たち。
小学生は、いい。
そうして無邪気に笑っていられる。
僕は、いつから、そんな時間のことを忘れていたんだろう。
なんとなく、ため息が出た。
コミックの内容なんて、ほとんど頭に入ってこない。
ぺらぺらと、何度も、同じページをめくる。
「いち、にぃ、さん、しぃ」
鬼に決まった子供が、目隠しをして、数えている。