マミーの恋人

「スミレさぁん・・・いい加減、帰りましょうや」


と言いかけたわたしの耳にシャララ~ン。



爽やかな着メロの音が鳴り響く。



おっと、メールだ。



誰かなあ・・・・



もしかして、如月先輩だったりして。



わたしの脳裏に突然、たけのこをバックに


わたしに向かって微笑んでいる如月先輩の顔(かんばせ)が浮かんだ。


孟宗竹(モウソウダケ)・・・妄想だけ、ね。


うわぁあ・・・やっちまったぜ、親父ギャグ。


ひとり突っ込みを入れて、自爆。


・・・ぜってーアリエネーゼ。


でも、でも・・・やっぱり先輩からだったらいいなあ・・・と、


切ない思いを抱きながらケータイを開いたら


・・・あらら、マミーから。


・・・な~んだ。人生ってそういうもんよね。


思いっきり黄昏た。夕日が目に沁みるぜ。


今日は朝から曇りだったけど。


>きょうは早く帰ります。晩御飯よろしく。
>PS:ジェノベーゼだったらものすご~くうれしいんですけど。


・・・はい、わかりました。ジェノベーゼ作れって事ですね。


ベランダのバジルもいい感じに育っているし、



松の実の買い置きも御座います。


大丈夫です。ソースだけ作って待ってます。


パスタはマミーが帰ったらゆでますね。


はい、アルデンテのゆで方はカンペキですから。


駄目出しはNG.よ。マミー。