俺の両親は、俺が物心付いた頃にはもう、“冷め切った夫婦”になっていた。

いや、もしかすると、もっと以前から、そうだったのかもしれない。

それくらい昔から、冷め切った関係を続けている。


恋愛結婚だったと何処かで耳にしたが、2人を見れば見るほどに、それは絶対に嘘だと思った。

街中で見かけるカップルと重なる部分なんて、あの2人には1つもない。

政略結婚と言われた方が、余程説得力があっただろう。


何故結婚なんてしたのだろうか?

当然のごとく抱いたその疑問は、10歳の誕生日に、既にぶつけている。

だが、結局答えは貰えず、2人の機嫌を更に損ねただけだった。