『ありがとう』か… 私は『ありがとう』の歌を歌い、 歩いた。 「由梨ちゃん!」 声のする方を向くと、そこには慎二くんの姿があった。 「ごめんなあ~ 昨日携帯の充電切れてさー。充電器見つからへんかったから掛けなおされへんかってん。」 いつもの慎二くんだった。 ヘラヘラと笑って、 髪の毛をクシャクシャにかきあげている。 でも、目は真っ赤だ。 多分徹夜で充電器を探してたのかな…。 「…ありがとう」 私はそう呟いた。