ありがとう【被害妄想彼氏 番外編】


慎二くんと同じ関西弁…。


「はい、知ってますよ。
そこ曲がってすぐにあります。」


「まじで!
ありがとう!」


彼は鼻唄を歌ってそちらへ向かった。



その曲は慎二くんが歌っていた歌と同じだった。


「あの…!」



私は彼を呼び止めた。



「ん?」



彼は後ろを振り向いて私の方を見た。



「その歌…」



そこまで言って、なぜか黙ってしまった。
曲名を知っている訳じゃなかったから。



「ああ、この歌か?
この歌は俺らのバンドの歌やねん」



彼はそう言って微笑んだ。



「曲名は『ありがとう』や」




その曲は切なくて、とても暖かい感じがした。