ありがとう【被害妄想彼氏 番外編】

次の日。


放課後まで電話もメールも来なかった。



―――当たり前か…。



私は家に帰る途中、気分直しにジュースでも飲もうと自販機の前に立った。



「あれ?
財布がない…」



お昼にはあったはずなのに。






「お姉さん!
もしかしてこれ捜してんの?」



私が振り向くと、
男の人が私の財布を差し出していた。



「そうです!
ありがとうございます!!」



私がそう言うと彼は財布を私の手の上に置いた。



「お礼はええからさ、
このへんで鍋食えるとこ無い?」



彼は少し困った顔をして笑った。