真知子ちゃんと話してたら、
もう約束の時間が迫っていた。
私は真知子ちゃんに別れを告げると
待ち合わせ場所に向かった。
待ち合わせ場所にはまだ、
慎一さんはいない。
ドンッッ
道で誰かが私にぶつかった。
その人は女の人で、
ぶつかった拍子で鞄の中身が道端に散乱した。
「だ、大丈夫ですか?」
私はしゃがみこみ、
散らばった物を拾った。
「す、すみません。
ありがとうございます!」
その女の人は私に微笑んで、
謝った。
「おい、ハゲ!
お前さっさと来いや」
しゃがみこんでいる私の背中を軽く蹴る。
ああ、慎一さんだな。
「慎一さん……?」
女の人は慎一さんの名前を呼んだ。
知り合い……?
「………ネクラ」
慎一さんの表情は、
いつもと違って見えた。


