ビターチョコレート【被害妄想彼氏 番外編】








……それから一ヶ月が経った。



もう冬も近づき、
あったかいものが恋しいこの季節。



「お鍋食べたいなあ…」



私がそう呟くと、
お父様はお風呂程の大きさの鍋を用意して
嬉しそうの私に見せたが、私は首を横に振った。




「慎一さんと、ちゃんこ鍋食べたい…」



あの日は結局、
あの後家に帰った。



気まずいのもあってか…



「もう、踏ん切りついたかな…」



そう呟くと、
携帯が鳴った。



「はい」



「早よ出ろハゲ!!」



…慎一さん。



「……ちゃうわ、


待たしたな。」




…え?



それって…



「俺、ネクラに言うてきた。

結構アッサリ言えたわ」



慎一さんはガハハと笑った。




「俺と付き合うか?」



私は無言で頷いた。



「返事せえ、ボケ!!」



こんな時にまでSな慎一さん。



「……はい。」





Sだけど、



優しい慎一さん。





まるで




ビターチョコレートみたいなあなた。




でも、



私は




ビターチョコレートが大好きです。







【END】