私は平山さんにその話を聞いて呆然としていると、
カツンカツン
…と、
誰かが階段を上ってくる音がした。
しばらくするとその音はこの部屋の前で止まり、
ドアが開いた。
「なんやハゲ。
来とったんか」
慎一さんはスーパーの袋を持ったまま、
靴を脱いだ。
「おっかえり~!
今日の夕飯なあに?」
平山さんが目をキラキラさせてスーパーの袋を見つめた。
「ちゃんこや。」
「え~!季節的にまだ早くない?
…まあ、いっか。」
平山さんは少しぶーたれながらも喜んでいた。
今は10月。
確かにお鍋をするにはまだ早いのかも?
「ハゲも食っていくか?」
慎一さんがそう言うと、
私は頷いた。


