ビターチョコレート【被害妄想彼氏 番外編】



「あ~!
ビール飲みたいわぁ」



慎一さんは飲酒運転になると言って、
コーラしか頼まなかった。



「ビールって、
美味しいんですか?」



私が何気なく聞くと、
慎一さんは『そりゃあもう』と言わんばかりに頷いた。




「瞳さんの事は、
どれくらい好きだったんですか?」



口から無意識に出た言葉だった。



慎一さんは少し驚いた顔をしたけど、
ゆっくり口を開いた。




「……S女に聞いたんか。

まぁええわ。」



それから、無言になった。



簡単に口に出せるほど、軽いものじゃない。




私は、聞いてはいけない事を聞いてしまった。




「ご…っ
ごめんなさい」



「何で謝んねん。

……終わった話や。」




そうかな……?



そんな感じには見えないけど……。



「お前、
そんな事気にしてたらハゲんぞ?

カッパなるわ、カッパ!
あるいは逆カッパや!」



逆カッパ……



自分の(逆)カッパ姿を想像すると、なんだか笑えた。