体育館での入学式が終わり、教室に帰る時、
「そーらちゃん♪」
香奈は可愛らしい笑顔で空に話しかけた。
空の目はあきらか香奈を睨んでいたが、
香奈は気に止めなかった。
「ねぇねぇ。
友達になろうよ!」
香奈がそう言うと、
空の顔つきが変わった。
「誰がテメェみてぇなアバズレ女と友達になるかぁ!!
調子のんなハゲ!!」
また空の小学生らしくない台詞に、一同は空に目線をうつした。
その時の空の顔は歌舞伎化していた。
「あははっ
空ちゃんて面白いんだね!」
香奈は空の腕をバシバシと叩き、
笑った。
「ご、ごめんね。香奈ちゃん。
知り合いに口悪いおじちゃんがいるからうつっちゃったみたいなんだよ。」
『口悪いおじちゃん』とは慎一の事である。
「ううん、全然良いよ!」
香奈は手を左右に振った。
「このアバズレー!!」
意味を分かっているのかいないのか、
空はずっと香奈を『アバズレ』と言い続けた。
香奈はただ、それを聞いて笑っているだけだった。


