「慎一さん…あの、お話したいんですけど、
いいですか?」
ネクラは照れくさそうに、近付いてきた。
「ああ…別にええけど」
S女は無言で俺にアイコンタクトし、
去って行った。
「…で、話って何なん?」
その話を聞いたら、
俺も、ネクラに…話す。
結果は分かりきってるけど…
ケジメつけやなアカンもんな。
「メール、返せなくてごめんなさい。
あの時ちょっと色々あって…」
「長野の事か?」
俺がそう言うと、
ネクラは頷いた。
「それと…ありがとうございました。」
ネクラは顔を真っ赤にした。
「慎一さんが、メールとか…そんなんじゃなくて、
『お前と話がしたいねん』って言ってくれた事、凄く嬉しかったです。」
ネクラは、真っ赤な顔を手で隠しながら、話を続けた。
「私は、それまで…電子メールをひたすら待ってました。
電話でも、
帰ってくるでも無く…」
それは、俺も同じやった。
お前と会ってから…
「でも、慎一さんの言葉で気付いたんです。
メールや、電話や、手紙でもなく…
あの人に会いたいって。」
ネクラは顔を隠すのを止め、
真っ直ぐ俺の目を見た。
恥ずかしそうに涙ぐんだその目は、
なんだかとても……
愛しく思えた。
「慎一さんのお陰です。
ありがとうございます。
…い、以上です」
ネクラはそう言い、再び手で顔を覆った。
「……なあ、
俺も、話あんねん。」
メールではなく、
目の前にいるお前に…
伝えたい事。


