「――村長!ユラ様!聞いて!大変なんだっ!!」

畑仕事の中休みで岩に腰掛けた僕らの元に、息を切らせた若人が駆け込んできます。
森の外に偵察に行かせた若人でした。


「どうした?外の地で何か問題があったのか!?」

ロマはすぐにそう問いましたが、彼は激しく首を振り、それを否定しました。


「違う違う。あいつらは大丈夫だよ!それより、もっと大変なんだ!」

「…それより…?」

一体何だと言うのでしょうか。
それより大変な事なんて、僕らには思い付かなかったのです。


「いつも通り、森のじぃさんに会って…森を抜ける途中でさ、チラッと何かが光ってるのが見えたんだ!何だろうと思って近付いたら、七色に光る…何だろう…あれ、「村」なのかな…」

「「……村!?」」


「…分からないけど、建物の集団。俺、立ちすくんじゃって!でも、すぐ無くなっちゃったんだ。消えちゃったんだよ!それがさ、あの「木の生えない」不思議な場所だったんだ!」

若人は、興奮気味に自分が目にした事を僕らに伝えました。
僕たちは互いに顔を見合わせます。


「夢じゃないぜ!?ちゃんと見たんだ!なぁ、何なんだ!?ユラ様はあれが何か分かるのか?」